Selling out - does it still exist?

Remy Holwick :
N.Y. State of Mind with Theophilos Constantinou

Remy Holwick is a model, photographer and performance artist in NY. With Theophilos Constantinou, Founder of PARADIGM publishing and photographer, they talked about from the difficulty to survive as an artist in the modern world to the relationships between art work and artists.

「ソーシャルメディアの時代、セルアウトは存在するか。」モデル、アーティストのレミー・ホルウィックと、出版レーベルを主宰するセオフィロス・コンスタンティノウが、アーティストとしてサバイブする難しさからアート作品と作り手の関係性まで、ディープな会話を繰り広げた。

Featuring Remy Holwick, Photography and interview Theophilos Constantinou, Editor eucari

ご両親がアーティストですが、どう幼少期に影響を受けたか、そして今ご自身が母親として、アーティストとして感じることはありますか?

私の人生は両親なしには語れません。物心つく前からアーティストとして教育を受けました。わたしの友人たちを見ると、アートとは何事へも恐れない反抗の手段として捉えてられていますが、わたしの場合は両親に導かれて励まされてきたので、アートを通して自分を探求するのに、反抗も勇気も必要ありませんでした。

小さい頃からつねに絵具や紙を持たされ、何かをつくることを促されてきました。音楽を聴いていようが絵を描いていようが、何をしていてもダメと言われない家庭環境だったので、幼少期のことを思い出すたびにそういった自由な空気に懐かしみを感じます。

そんな両親のおかげで自信を持っていましたが、一方でプレッシャーを感じることもありました。自信を損いたくないがために、自分が作ったものでも満足していないと絶対ほかの人には見せなかったですし、ほかの人をがっかりさせたくないなどと思うことをすら恥じることもありました。

そして、父と比較されるのにとても敏感で猜疑的になっていきました。父はみんなに愛されながら若くして亡くなったので、父のように絵具や鉛筆をつかってなにかを作り出すということを、ある時点から全くできなくなってしまいました。わたしの20代は、なにを自分が作りたいのか探る期間でしたし、そうすることで父の影から離れることができました。こうしてわたしは写真や映像、パフォーマンスアートに目覚めていきました。

セルアウトー自分のスタイルよりお金を優先することはいまだに存在すると思いますか? ソーシャルメディアで絶えず自身のこと宣伝していかなければいけない時代に、セルアウトせずどう仕事をしていますか?

ははは!笑 常に休みなく素晴らしい仕事をこなさなければいけないというプレッシャーはありますし、それに見合ったお金を稼ぐのがますます難しくなってきている気がします。

両親の時代はセルアウトについての議論や力のある会社に忖度したりなどということはあったと思いますが、セルアウトという言葉自体もうすでに適切な言葉ではなくなっていると思います。彼らの時代は、ヴェネツィアのビーチの店先をただ同然で借りて、ウィードを売ったりしながら、アーティストであるという尊厳を疑いもなく維持できていた。今の時代を生きる苦悩多きアーティストたちは、本来すべき創作活動に費やせる時間もほとんどなく、何十万円かかけてスタジオを借りながら複数の仕事を掛け持ちしています。

アートは裕福な者たちのためのお遊びになりました。金持ちの家出身ではないためにすでに不利であるにも関わらず、セルアウトだと弾糾されたくないがために仕事を断ることもあります。この状況は馬鹿げています。

わたちたちはただ生きる最低限のお金をアートで稼げるならラッキーでしょう。創作のための時間をつくり展示会を毎年できるならラッキーでしょう。そしてソーシャルメディアは"わたしがここに存在している"と業界に再確認してくれるツールではありますが、一方でましてや女性は、ソーシャルメディア上で "クール で求められる存在でなければならない"という問題を抱えています。

セルアウトという概念はいまや適切ではないと思います。すべてがシンプルだった古き良き時代のための死後であり、わたしはお金持ち出身ではない家庭の出身で、クリエイティブな活動で生計を立てているすべてのアーティストたちを尊敬しています。

アートの世界や、それ以外の一般的な世界でも、あなたに何かを求めている人のなかから信頼できる人を見極めるのは難しいかもしれません。不誠実な人間に傷つけられ、そこからどのように成長したかを教えてください。

数え切れないほどの回数です...。でも、人が信頼できるかどうかはっきり決められるとは思いません。誰もが自分の持てるものでベストを尽くしていると思いますし、なかには本当に限られた、混沌とした、手入れされていない引き出し(=考え方)を持っている人もいるでしょう。

モデルをしているから、美人だから、社会的地位があるからという理由で、人は私にとても親切にしてくれることがよくあります。でも、友人からその人たちの話を聞くと、私への親切がみんなへの親切ではないような気がして、引いてしまうことがあります。私の周りにいる人たちには、得するから、有利になるから、と言った理由などではなく、世界を愛してほしいと思っています。

シンガーのヘンリー・ロリンズはかつて、自分のアイドルには会わない方がいいと言っていました。アートや作品を作り手から切り離すべきなのか、そうではないのか、どう考えますか?

私は多くのアイドルと出会い、そのうちの何人かは良い友人になりました。これは人生の宝です。

でも、もうアートとアーティストを切り離すことはできないと思うんです。ソーシャルメディアに限らず、モダニズムの登場以来、芸術の目的は外面を映したり複製したりするのではなく、アーティスト自身の内面の世界を表現することになったのです。

しかし、もうひとつ伝えたいのは、自分が共感できるものを作っているからといって、その人の考えや発言のすべてに賛成する必要はないということです。尊敬しているけれど、深い絆を築きたいとは思わないようなアーティストにも出会ってきました。それは単にその人の性格が気に入らないということではなく、作品に傷をつけるような抑圧的な思想を持っているひとたちもいます。

おすすめの曲:CornershopのBrimful of Asha

お気に入りのレシピ:アーティチョークがバラバラになるまで茹で、レモンジュースと塩で混ぜたヨーグルトソースにディップ!

好きな映画:『オープン・ユア・アイズ』(1997) 17歳に観ましたが、いまだに作品づくりの参考にしています。

今読んでいる本:村上春樹が「彼を抜きに1950年代のアメリカ文学は語れない」と言う、作家ジョン・チーヴァーの『Bullet Park』

Remy Holwick
Model, photographer, artist
@remyholwick
https://www.remyholwickphoto.com/

Theophilos Constantinou
Founder of PARADIGM publishing
@paradigm_publishing
https://paradigmpublishing.co/