Wasei Shioda: Acting allows me to know myself,
including the weakness
モデルからキャリアをスタートし、石橋夕帆監督「左様なら」やMOOSIC LAB招待作品「不安定なせいかつ」、オカモトナオキ監督「花火の温度」など
2021年以降も映画出演が続く俳優・塩田倭聖。
役者をはじめたきっかけから、演じることについて、将来への希望を語る。
After starting his career as a model, actor Shioda Wasei has appeared in films.
He talks about how he started, his thoughts about acting, and his hopes for the future. EN translation following.
Featuring Wasei Shioda, Photograph Keishi Sawahira, Styling SHIKI, Hair & Make-up MAYA ,Edit eucari
学生の頃は軽音楽部とダンス部に入っていて、学園祭とかの催しがあるときは自分の名前がひっきり無しに続いたり、先輩からも後輩からも一目置かれるような、自分の足もとには常にレッドカーペットが敷いてある、そんな青春期を過ごしてきました。
高校卒業後はモデルになりたくて東京に出てきました。そうしていくうちに少し時間が経ってふと自分が歩いてきた道を振りかえると、レッドカーペットなんて敷いてありませんでした。もう同じ年代の人たちはどんどんキャリアを積み上げていて。もうモデルを辞めようと思ったタイミングに、知り合いのフォトグラファーに「俳優としてこのオーディションを受けてみたら?」と言われました。すぐには返事ができませんでしたが、3日後、受けると決めました。
演技するって、演じてるんだけど演じてないんですよね。憑依するとかではなくて、台本書いてあるその役がまずどういう人物かって分析するんですね。それで監督とすり合わせて絵ができあがる。それを自分のものにするんです、パーソナル化って言うんですけど。台本にある例えば「怒鳴る」「泣く」「何もできない」といった動作を、なぜそういうふうに「怒鳴る」「泣く」「何もできない」のか、この人物がどういう考え方をして、このシチュエーションでどう思考が動いていくのかを追っていく。表情とかすべて、細胞レベルでその表現ができるように。それには自分の今までの経験とか、家族とか友人とか、台本に近しい経験を思い起こしながら、そのとき感じた感情に置き換えながら演じることが多いです。目の前の相手と演技をしていると、お互い予想外な事をしてると思うんです。このとき初めて、いただいた役が「その場に生きているんだ」と実感します。
僕が教わっているメソッドでの指導が、今の自分の演技の向き合い方、取り組み方になっています。呼び鈴を鳴らさないうちにぼくの家に土足で入りこんできます。それくらい急で、ぼくの心臓に拳銃を突きつけられてる、そんな感覚。自分すら知らなかったような弱みを、意識していないうちにつかれます。レッスンの間、急に涙がでることもある。ぼくは自分自身をまだ受け入れきていなくて、好きなところもあるけど、まだ嫌なところがまだ勝っている。でもそんなことしていたらいい役者になれないし、いい人間にもなれないし。だからとにかく受け入れる、役者は、自分自身を受け入れることに特化している職業です。(笑)実際に演技しているときも、台本の言葉は人によって解釈が変わってくるから、相手側の役者から予測してもない演技が飛んでくることがある。
そういう経験を重ねるなかで、自分自身は特に変わってなくても、そのなかに沢山の自分がいることに気付きました。自分を知るために役者をしているという部分もあります。こんな自分も居た、と発見の連続です。ただ、ネガティブな自分が思いがけないタイミングで見つかった時、それを受け入れる事、手放すことがまだできず、葛藤しています。ぼくは、ほかの役者と比べて、めちゃくちゃ売れたいかって言われるとそうではないんです。いわゆる“芸能人”になってパパラッチに追われて、みたいなのは目指しているビジョンではない。今ある目の前の作品に集中して、その積み重ねがいま想像もしていない将来に連れて行ってくれるかもしれない。
これは極論ではありますが、もしも10人が目の前の観客席に座っていたとして、自分のパフォーマンスを10人に向ける必要はないと思ってます。そして10人から視線を向けられるのも、正直手足が痒く感じます。それよりも、自分が本当に大事にしたいものに届けられたら、それが一番良いと思ってます。もちろんそのステージを作り上げてくれた人や、物、空気、一つ一つが無くては達成できないです。パズルでいう真ん中のピースを無作為にはめたくないんです。最後に取っておきたい。そんな気持ちもあります。
人前にいるとき、仕事のときは子供みたいに素直に、楽しいことは楽しいと感じて、半ば強制的ではありますが、その場のスタッフさんも、キャストのみんなも「なんかわかんないけど、こいつ居るしまあいっか」って思える、その場を楽しめるひとつのきっかけに自分がなれたらと思ってます。すでにそういう人が居たら、静かに仕事します。
オフの期間は1人で過ごすことが多いですね。東京に出てきたばかりの17歳から20歳過ぎくらいまで、明日の用事とか知らない!楽しいからまだずっと遊ぼうぜ!ぐらいのテンションでした。けど、そのフェーズはもう終了したみたいです。華々しい環境下は仕事の時だけで、充分お腹いっぱいになります。
家が本当に大好きなので、コーヒーを飲んでは、ベッドに何度も入り直したり、ふと窓の手垢に気付いて掃除を始めたり。グツグツ煮込む系の料理をしたり、自宅で飼ってる猫と戯れ合ったりしてみては、猫が興奮モード入りすぎて、ぼくは疲れて本を読み始めたり。気晴らしがてらカメラをもって外に散歩にでかけたり。悠々自適に過ごしています。少し前、背中を預けれる人が身近にいました。沢山の時間を共有しあい、その空気は清く、純度が高いものだったと思います。感謝しています。
母が台湾出身なのですが、台湾は本当に蒸し暑いので、外に出る気が起きません。(笑) それよりも、冷房を効かせたリビングで、母が作る晩御飯を、携帯を弄りながら待ってる方が心地いいんですこれはまた別の話ですが、ここ1〜2年、台湾、中国、韓国とアジア圏のアートには興味があります。そうしたら母に幸せに感じてもらえると思います。ぼくの推測ですけど。(笑)
考えかたに影響を及ぼした映画:「きみはいい子」「そして父になる」「聲の形」「アイスと雨音」「SHAME」「マリッジ・ストーリー」「世界で一番長い写真」「ゴーンガール」「SE7EN」「南瓜とマヨネーズ」「ステップ」「長いお別れ」「存在の無い子供たち」「アバウトタイム」「ノマドランド」「100歳の少年と12通の手紙」あげたらキリが無い。
最近最後に見た映画:グザヴィエ・ドラン監督「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」
好きなファッションブランド:SWEET SKTBS(スウィートスケートボード)、VIVASTUDIO(ビバスタジオ)、あとは古着
週末に聴いている音楽:ステファン・モッキオ・ジャン-ミッシェル・ブレ。ここ2.3ヶ月はずっとピアノを聴いてます。
今読んでいる本:井上荒野「百合中毒」
When I was a student, I was in the rock music club and the dance club, and when there was a school festival or something like that, my name would be mentioned incessantly, and I would be looked up to by both my seniors and juniors, and there was always a red carpet under my feet.
After graduating from high school, I came to Tokyo to become a model. After a while, I looked back at the path I had taken, and I saw that there was no red carpet. People my age were already building up their careers. I was about to quit modelling when a photographer who knew me said, "Why don't you audition for this role as an actor? I couldn't answer right away, but three days later I decided to do it.
I'm currently working with Ivana Chubbuck, a coach who is known in Hollywood for her work with Brad Pitt and Charlize Theron. Her guidance has helped me to deal with my acting now. She would come into my house on her feet before I could ring the doorbell. It's so sudden, it's like having a gun to my heart. They exploit weaknesses in me that I didn't even know I had, without me even being aware of it. During the lesson, I sometimes cry suddenly. I haven't accepted myself yet, I like some parts of myself, but the parts I don't like still prevail. But if I do that, I won't be a good actor, I won't be a good person. So I just accept it, and actors are a profession that specialises in accepting themselves. When you're actually acting, the words in the script can be interpreted differently by different people, so there are times when the actor on the other side will give a performance that you didn't expect.
Through these experiences, I realised that even though I hadn't changed, there were many different versions of myself. It's a continuous process of discovery. However, I still struggle to accept and let go of my negative self when I find it unexpectedly. Compared to other actors, I don't want to be a big star. I don't want to become a celebrity and be chased by the paparazzi, that's not my vision. I just want to concentrate on the work that I have in front of me at the moment, and the accumulation of that work might take me to a future that I can't even imagine for now.
Films that have influenced the way I think: 'Being Good', 'Like Father, Like Son', 'A Silent Voice', 'Ice Cream and the Sound of Raindrops', 'SHAME', 'A Marriage Story', 'The World's Longest Photograph', 'Gone Girl', 'Se7en', 'Pumpkin and Mayonnaise', 'Step', 'A Long Goodbye', 'Capernaum', 'About Time', 'Nomadland', 'Oscar and the Lady in Pink'
Last movie I watched recently: 'The Death and Life of John F. Donovan' by Xavier Dolan
Favourite fashion brands: SWEET SKTBS, VIVASTUDIO and second-hand clothes
Music I listen to on the weekends: Stephane Mocchio and Jean-Michel Blais. I've been listening to piano for the last 2.3 months.
Book I'm reading now: Arano Inoue 'Yuri Chudoku'
Featuring Wasei Shioda
@waseishioda
quint-entertainment.co
office-karma.com
Photographer Keishi Sawahira
@swhrkc
keishisawahira.com
Stylist SHIKI
@shiki_stylist
Hair & Make-up MAYA
@maya_hairmake
BRAND CONTACTS
DIET BUTCHER dietbutcher.jp, EDWINA HÖRL edwinahoerl.com